現代社会の喫緊の課題解決と活性化に向けて、情報通信技術(ICT)の高度利活用を軸として社会システム変革や新サービス創造が強く求められています。こうした領域を我々はソーシャルICTと呼び、情報理工学の新しいフロンティアであると考えます。この考えにもとづいて、都市・地域、企業・組織、行政、サービス・事業を情報システムとしてとらえ、人にとって価値あるデザインをし、実現することを目指します。
ソーシャルICT研究センターは、東京大学大学院情報理工学系研究科の主導により、先端情報理工学を基軸に新たな社会システムやサービスを創造的にデザインして具現化し、社会イノベーションを先導する教育研究の推進のために設立されました。東京大学ソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラムに協力中の東京大学他部局や学外産官民等機関と連携し、高度人材の育成と人材活用、活躍の場の開拓も担います。
國吉初代センター長、萩谷第2代センター長、中田第3代センター長の後を受けて2022年4月からセンターの運営を引き継ぎました。本センターのミッションは、ICTを用いて社会の仕組みを変えその価値を高めることにあります。それには、人間社会と情報システムが融合したシステム全体の再設計が必要です。そのため、本センターでは発足以来10年余にわたって、個人のデータを本人に集約して活用を促進するPDS(Personal Data Storage)とその社会実装、電話帳のデータによる買物困難地域の推定などのビッグデータによる価値創造、生活習慣に基づく個人認証とそれによる新サービスの創出、オープンデータの活用による公共交通サービスの最適化、これらのサービスを支えるインフラ技術などに関する研究開発を推進してまいりました。さらに、コモディティ化しつつある大規模言語モデル等のAI技術を用いた教育や行動支援や行動変容など、新たな展開の可能性も広がっています。未知の社会的価値の創造に向けて、当センターの活動をご支援いただければ幸いです。